ビジネス英文メールの書き方 第2回

ビジネスではほとんどの場合、お金だけではなく相手との信頼関係がからみますので、コミュニケーションには個人同士の場合以上に細心の注意を払う必要があります。今回から3回に分けて、ビジネスコミュニケーションにおける人間関係・ビジネス関係上の配慮事項についてお話しましょう。

1. ビジネスコミュニケーションに必要な7つの ”C” ( 7 Cs)

ビジネス英語コミュニケーションでは、テクニカルライティングでよく言われる 3つの ”C” (3Cs) に4つの “C” を加えた 7つの “C” (7 Cs) を配慮することが重要です。



テクニカルライティングの 3 Cs:

  1. Correct  正しい
  2. Clear   明瞭/明快である
  3. Concise  簡潔である

ビジネスコミュニケーションに追加される 4つの “C” (4 Cs)

  1. Complete  抜けや漏れがない
  2. Concrete  具体的である
  3. Courteous  礼儀正しい、丁寧である
  4. Considerate 配慮が行き届いている

これらのうち、メールを始めとする書きものによるコミュニケーションでは、次の理由により、第6、第7のCourteous(礼儀/丁寧)とConsiderate(配慮)の重要性が特に増大します。



以下、この2つのポイント(礼儀/丁寧と配慮)を中心に話を進めます。

2. 丁寧さ/失礼さを決める要素

一般に人と人とのコミュニケーションにおいて丁寧さまたは失礼さは、次の要素によって決まると言われています。

3. 基本原理

どのような社会においても2人の人間 * が対峙してコミュニケートする際には、何らかの力関係がその様相や成り行きに影響を及ぼします。その力は、社会的地位(先天的なものおよび状況/環境に起因するもの)、経済力、知力、体力等々様々ありますが、ビジネスにおいては主として、どの方向にお金が動くのか(売り手 vs. 買い手)、どの方向に依頼や提案がなされるのか、どの方向に攻撃(非難、訴訟等)が向けられるのかといった状況や環境に起因するものの比重が大きいでしょう。したがって、明示的・暗示的を問わず存在するそうした力関係の枠組みの中で、コミュニケーションのしかたを考える必要があります。また、「失礼」とは相手の感情を害すること、と言い換えることもできますので、ビジネスコミュニケーションにおいて目指すべき一つの目標は、相手との間に感情問題を起こさないことです。


*) ここでは文字通りの2人の個人だけでなく、2つの団体/組織の場合も含みま す。団体/組織の間であっても、実際に言葉が直接交わされるのは通常それらを代表している2人の個人の間ですので、一応「2人の人間」としておきます。


すぐ前のパラグラフに、丁寧さや失礼さを決める要素を列挙しましたが、共通的なキーワードとして挙げられるのは、配慮(consideration)と尊重(respect)でしょう。これには、相手の立場を適切に配慮すること、および社会通念やエチケットを守ることが含まれます。ちなみにメールを含むオンライン通信の共通的なエチケットとしてネチケット(netiquette)という一連のルールが存在します。ここでは詳細に立ち入りませんが、それらの根底にあるのは、配慮と尊重です。

次回以降、ビジネスメールで感情問題を起こさないようにするための具体的な考慮事項をお話します。

2022年12月2日

特定非営利活動法人 プロフェッショナルイングリッシュコミュニケーション協会
理事 平井 通宏(技術士 情報工学)


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