ビジネス英文メールの書き方 第1回

友人相手の気楽なテキスティングとは異なり、仕事の場面で改まった通信文(特にメール)を書こうとすると、どのように始めたらよいのか、母国語でも迷うものです。それが英語等の外国語であればなおさら神経を使う必要があります。第1回は、英語メールの導入部の書きかたを復習しましょう。

1. メールの基本構成

ビジネス英語でのメールの基本構成を以下に示します。各構成部分の名称以外の英語は、代表的な一例です。


表題(title)

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呼びかけ(salutation)

Dear Ms. Powell:

本文

導入(opening)

[I hope this email finds you well.] This is to request….

本体(body)

On October xx,…

結語(closing)

I look forward to hearing from you soon.



結辞(complimentary close)

Yours sincerely,

署名(signature)

2. 呼びかけ(salutation)に関するいくつかのポイント

(1) ビジネス通信としては以下の形がよく使われます。

(2) 上記の直後は、通常”,”、ただしフォーマルでは “:”とします。ただし、英国ではどちらも使わない場合が多いようです。

(3) MrやMsといった敬称(略称)の直後は、米国では終止符”.”を付しますが、英国では何も付けません。

3. 導入(opening)部の書きかた

導入部は一般に以下に示すように、A. 新しい用件を切り出すパターンと、B. 相手のメールに応答するパターンがあります。


Aのパターンでは、冒頭の決まり文句(下記A-1参照)から始まり、次いで、このメールの目的または主題(下記A-3参照)を明確に伝えます。


冒頭の決まり文句: 日本語の通信文では、導入部は定型的な挨拶文(時候の挨拶や、「時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます」といった切り口上)で始まることが一般的ですが、ビジネス英語ではそのような挨拶文は不要です。その代わり、下記A-1のような言い回しを使いましょう。


導入部ではさらに必要に応じて(特に新しい用件を切り出す場合)、このメールを書くことになったきっかけや背景にも触れることが望ましいです。


注) メール文例を集めた参考書が多数出回っていますが、往々にして、導入部なしでいきなり本体(本題)から始まっているものがあります。しかしそれでは、玄関を開けるなりずかずかと土足で入ってくるような印象を与えてしまいますので、参考にするのはよいですが、その都度、実際の状況に合わせて導入部を追加した方が無難です。


A. 新しい用件を切り出す場合


A-1) 冒頭の決まり文句:

(i) 一般的


この場合“hope”の後は未来形ではなく現在形とします。また、必要に応じて、これらの言い回しの直後(または直前)に、自己紹介の文を加えることもあります。



(ii) かなりへりくだって丁寧に切り出す(初めてコンタクトする相手に、遠慮しながら書き出す)場合(日本語の「初めてお便りするご無礼をお許しください」に相当)



(iii) ある程度親しい相手の場合(ややインフォーマル)



A-2) 背景や状況に触れる場合: メールを書くに至った背景や状況に言及することにより、A-3 の表現(特に (i), (ii))の直接的な感じを和らげることができます(次の例を参照)。



A-3) 要件を一言で伝える: さまざまな言い方がありますが、次の基本パターンを覚えておくと便利です。

(i) I am writing to inquire about … (… についてお聞きしたく、メールを書かせていただきます。)

(ii) This is to inquire about … (<同上>)

(iii) We are pleased to inform you … (… についてお知らせします。)


上の (i) で、会社やグループを代表して書いているような場合には、“We are writing to …”にします。 (iii) は、好ましいことを伝えたり、何かを発表したりする際によく使われる言い回しです。



B. 相手のメールに応答する場合


最初に、相手のメールを受け取ったことを伝えることで、筆を起こします。


(i) Thank you very much for your email of February 15. (2月15日付けのメールをありがとうございました。)

(ii) I am writing this message in response to your inquiry of March 25. (3月25日付けのお問合わせにお答えいたします。)

(iii) This is to reply to your inquiry dated March 25. (<同上>)

2022年11月25日

特定非営利活動法人 プロフェッショナルイングリッシュコミュニケーション協会
理事 平井 通宏(技術士 情報工学)


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