(冒頭掲載)

アメリカの大学のCTLによるChatGPTをはじめとする生成型AIへの
対処に関する基本的な考えを学ぶ

2023年7月6日

特定非営利活動法人プロフェッショナルイングリッシュコミュニケーション協会(IPEC)
理事 渡辺英緒


はじめに

 2022年11月30日にOpenAIからリリースされたChatGPTは、GPT-3.5の大規模言語モデルを搭載しているチャットボットシステムである。登録するだけで誰でも無料で使用できるため、リリースから1週間で100万ユーザー、2か月で1億ユーザーに到達するほど、非常に速いスピードでユーザー数が増え続けている。

 このChatGPTがアメリカの高等教育界を不安に陥れていた。2022年末から始まった不安は、アメリカだけではなく他の国々とも共有されていた。

 小職は、アメリカの大学がこのChatGPTの利用に関して、どのように対応していくのだろうかと関心を持っていた。2023年2月に二つの大学を選んで、それぞれの対応について把握するようにしていた。

 選んだ大学は、アメリカ合衆国の西海岸からカリフォルニア州の州立大学UC Berkleyと東海岸からペンシルベニア州の私立大学University of Pennsylvaniaとした。

 二つの大学ともに、大学内にCenter for Teaching and Learning(以下「CTL」という。)という組織を持ち、この組織がそれぞれの大学の教員向けにChatGPTの利用に関する有益な情報を各々のウエブサイトから発信している。両大学のCTLは、2023年2月上旬の段階で既に、ChatGPTという生成型AIツールに関する基本情報、ChatGPTの活用の可能性と課題について整理して情報提供していた。もちろん必要に応じてその情報は更新されている。その内容は、大学の教員や学生といった大学のコミュニテイだけではなく、一般の人たちにとっても、基本的な理解を形成する上で、役に立つ視点や内容を含んでいると思っている。

 OpenAIが開発した(大規模言語モデル(LLM)に基づくチャットボットである)ChatGPTをはじめとする生成型AIについて、きちんと理解しておくべきであり、大規模言語モデルの進化から目をそらしてはいけないと考えている。プロフェッショナルイングリッシュコミュニケーション協会(IPEC)にとっても、この新しいテクノロジーをどのように効果的に活用していくのかが当面の課題だと思っている。そして生成型AIは、個々の学習者に個別の最適な学習環境を与えてくれる可能性を持っていると理解している。

 両大学のCTLがそれぞれ発信している情報は、適宜、修正又は加筆されるという断り書きを入れている。当然のことであると思う。ChatGPTをはじめとする生成型AIは進化の過程にある。GPT-3.5を搭載したChatGPTがリリースされた2022年11月末から半年も経っていない2023年3月にOpenAIからリリースされたGPT-4(有料サービスであるChatGPT Plusに搭載された大規模言語モデル)の登場は、大きな衝撃であった。この更新されたバージョンは、あらゆる面で驚くほど向上している。

 アメリカの大学の2023年のSpring Semesterの終わりが近づいている。両大学のCTLはSpring Semesterにおける経験を基に、教員に対するアドバイスの内容をアップグレードしていくだろう。

 本稿は、2023年6月現在の両大学のCTLによるChatGPTをはじめとする大規模言語モデルツールの活用に関するアドバイスの一部を紹介するものである。

 ※本記事はIPEC法務英語プログラム・看護英語プログラムの受講生及び修了生、会員校の大学・専門学校向けに作成されたものです。冒頭掲載の続きの記事にご興味のある方は、以下よりお申込みください。

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